フリーランスエンジニアは会社員手取り給料の1.56倍以上もらう必要がある

フリーランスになればお金が入る・フリーランスになろう的な風潮があります。額面で見れば大きいですが、会社が払っている人件費は給料だけではありません。また、フリーランスになると払わなければならないお金もあります。

その額、手取り給与の1.56倍以上をもらわないと釣り合いません。順番に見ていきましょう。
それぞれの金額・料率は2019年8月、現在のものです。

社会保険料

健康保険料・厚生年金保険料は労使折半と言って、会社と本人がそれぞれ半分づつお金を支払っています。
一般的な会社が入る「協会けんぽ」の健康保険料は東京都で39歳以下9.90%、40歳以上で11.63%です。労使折半により会社が4.45%(5.815%)、本人も同額を負担します。
厚生年金保険料は18.3%です。労使折半により会社が9.15%、本人も9.15%。
つまり、額面給与+13.6%(15.0%)が会社から見た負担額です。

加えて、子ども・子育て拠出金(児童手当拠出金)が0.34%、これは会社のみ負担です。

さらに、雇用保険料が会社0.6%、本人0.3%かかります。
さらにさらに、労災保険料が会社0.3%です。

合計で会社14.84%(16.24%)、本人13.9%(15.3%)かかります。額面30万円なら会社は44,520円(48,720円)多く負担している一方、手取りは41,700円(45,900円)減らされています。

これがフリーランスになると、協会けんぽではなく国民健康保険になります。市区町村により異なりますが、東京都港区の場合30万円の収入に対して保険料は20,245円です。
厚生年金保険も国民年金保険になりますが、16,410円です。
つまり、手取りから36,655円納めなければなりません(ちょっと減っていますが、そのぶん年金支給額も減るので実際には損になります)。

所得税・地方税

仮に額面30万円独身一人暮らしとすると、8,420円が所得税の源泉徴収税額です。そのぶん手取りから差っ引かれます。

地方税は地域により若干の差はありますが10%です。控除などありますが、およそ12,700円引かれます。

個人事業税

個人事業税は所得税とは別にかかります。地域により異なりますが、標準が5%です。
しかし、東京都で準委任契約のシステムエンジニアだと0%です。これは都道府県ごとの判断によるので、方針が変われば5%になるかもしれません。請負開発だと5%と判断される可能性があります。

ここでは0%として計算します。

消費税

消費税は2019年10月から10%です。免税事業者であれば0%ですが、インボイス制の導入により免税事業者であり続けるのは困難です。
課税事業者でも簡易課税制度を用いることで5%分しか納めないで済むのが現在のルールです。金額が小さいので大雑把な計算で済ませようというのが簡易課税制度の大枠ですが、インボイスにより正確な計算が可能になるので簡易課税の意味がなくなり、この制度は継続されるかどうか怪しいです。

つまり正確な計算ができないのですが、ここは簡易課税の5%ということにしましょう。売上に対し5%なので、60万円売上があるなら概算で30,000円納めることになります。

合計すると1.56倍

つまり、額面30万円に対し39歳以下で、会社は44,520円加えて負担し、本人は62,820円減った金額を受け取っています。フリーランスになると保険料は5,045円浮きますが、消費税は30,000円を納める必要があります。

手取り給与237,180円に対し、フリーランスなら369,205円の売上が必要です。

あれ……思ってたより全然小さいぞ……なんか計算間違ったかな。

こういうとき「フリーランスだとすぐクビになるし」とか取ってつけるのですが、いまどき正社員でも怪しいものですし。

倍率にすれば手取り給料の1.56倍の売上が必要です。

あれ……それでも小さいぞ……。

金額が大きくなってくると国民健康保険料と所得税が累進課税的に増えるので1.56倍では効かなくなりますので、1.8倍は見たほうが良いというのが肌感覚です。手取り237,180円に対して売上429,924円。うーん、そんなものでしょうか。この売上ならフリーランスではなく転職のほうが安全そうです。

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